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アイデアを形にする第一歩

企業の新しい事業のコンセプトを考え、その表現方法をトータルにご提案し、制作するという業務のご依頼が、ここ数年本当に増えました。新しいターゲットに向けた新媒体を作りたい、新規のウェブマガジンを立ち上げたい、広告制作で何か新しいアプローチをしたい、というニーズはとても多いと感じます。そういう大切な相談をまかせてくださるというクライアントの方から、想定するターゲットや作りたいコンテンツの方向性をヒアリングして、メディアやコンテンツの作り方の各段階、具体的な誌面展開の方法などをアドバイスする仕事は本当に楽しく、やりがいがあります。それは相手が大手企業でも、小さな会社または個人のクリエイターの方でもまったく同じです。

今は最新鋭のプレゼン用デジタルツールがいろいろありますが、私はコンセプトやビジュアル構成を考えるとき、最初はやっぱり紙と鉛筆(シャープペンシル)を使います。PCに保存してある「コンテ用紙」と言われるシートをプリントアウトして、机の上に紙を広げてフリーハンドでシコシコと(そういえば最近あまりシコシコって使わないですね)、タイトルやキャッチコピーを書いて、ページごとに写真と見出しとテキストの感じを書き込んでいきます。全体の流れを俯瞰して見ていくこの作業がないと、どうしてもいいアイデアが出ないような気がします。

プロジェクトチームによってはアートディレクターがいて、このフリーハンド原稿にイメージ画像を加えて、すごくかっこいいプレゼン資料に仕立ててくれる場合もありますが、たいていはこういうアナログな作業で設計図を作ることがほとんどです。机の上が消しゴムのカスでいっぱいになり、キーボード打ちですっかりひ弱になった右手は鉛筆を持つとすぐ疲れてくるのですが、このラフコンテ描きが、編集者の一連の仕事の中でも1、2を争う大好きな業務です。経験上、これがうまく描ければ、その仕事はたいていうまくいくのです。


考えていることを紙に写し取っていく、と表現するのがぴったりの作業。アイデアを紙に写し取る一方で、思いついた言葉やイメージを別の場所にメモして、相手に伝えるときの材料を作ります。こんな地道な手作業から、プロジェクトやメディアのタイトル、制作チームみんなで共有するコンセプトやビジュアルイメージが作られていきます。


あるインテリアデザインのプロと全く別の話をしていたとき、何かの説明のためにこのアナログ感満載のコンテを見せたことがあったのですが、その人も「大きな家を一軒丸ごとリノベーションするとき、プレゼンにはデジタルツールも駆使するけれど、第一歩はやっぱり手描きだよ。それがいちばんだから!」とおっしゃっていました。これってたぶん、いろんな仕事にあてはまることのような気がします。「全体図や大きい絵を作る」ときは、なんというか原始的な手の動きと脳の動きを連動させた方がよい働きができるのかもしれませんね。

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