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いろいろできる、という悩み

1 日前
読了時間: 3分

編集業をしながら、クリエイティブなプロフェッショナルの方のお仕事のサポートをするようになって、約10年。私のところに来てくださるお客様には、いろいろな共通点があると感じています。

 

Photo/Joanna Kosinska
Photo/Joanna Kosinska

センスがいいこと、海外に縁がある方が多いこと。誠実で、自分の仕事や作り出すものに深い愛情を注いでいること。また、十分な実力と実績があるのに、自分の価値を実際より低く見積もってしまうこと。

 

いずれもご一緒するたびに感じることですが、改めてもう一つ、強く思うことがあります。それは、「いろんなことができる」方がとても多いということです。

 

例えば、花の教室を開きながら、イベント装花や雑誌のスタイリングをして、ものづくりのブランドも持っている。スタイリングと撮影とイベントプロデュースを日本語と英語でできる。建築の仕事から、ブランディングデザインへ軸足を広げている。グラフィックデザインとプロジェクトチーム運営の両方ができる。一つの肩書きには、とても収まりきらない方たちです。

 

傍目には、うらやましい限りの才能です。ところがご本人にとっては、これがしばしば「悩み」になります。

 

あれもこれもできるからこそ、自分を短い一言で名乗れない。「なぜ自分はいろいろできるのか」を、自分でもうまく説明できない。やりたいことは山ほどあるのに、何から手をつければ成果につながるのか、一人では決めきれない。——多才であることが、そのまま迷いの種になってしまうのですね。

 

どれか一つに絞るべきなのでしょうか? 私は、あまりそうは思いません。こういうマルチなタイプの人は、才能豊かでいつも動いているからこそ、活動が自然に広がっていくのだと思うのです。その自然な流れをせき止めない方が、うまくいくことが多いと思っています。

 

絞れないから散らばるのではなく、豊かだから発展・拡散していく。だとしたら、必要なのは、何かを切り捨てて減らすことではありません。一見散らばって見える活動の、全てを貫く「一本の軸」を見つけることです。

 

以前、伴走したあるお客様が、ご自分の変化をこう表現していました。「お団子の串が見つかった感じがする」。バラバラに転がっていたお団子——いろいろな活動——に、すっと一本の串が通る。お団子は一個も捨てていないのに、全体が「一つの作品」に見えてくる。迷いや悩みから抜けるのは、そういう瞬間です。

 

その軸は、多くの場合、新しく作り出すものではありません。すでにその人の中にあって、まだ名前のついていないものを、見つけて言葉にするだけです。一度にすべてを完成させようと、あわてる必要もありません。軸が定まったら、そこから一つずつ、外に出していけば大丈夫。時間をかけて、活動そのものを、ゆっくり育てていけばいいのです。そこに、ちゃんと一貫性は宿ります。

 

もしあなたが、「いろいろやりたいことがあって絞れない」「自分が何屋さんなのか自信を持って伝えられない」と感じているなら、それはきっとまだ、串が通っていないだけなのかもしれません。

 

今度のお休み、もし時間があったら、これまでやってきたこと、できることを紙に書き出して並べ、どうしてやりたいと思ったのかを頭に置きながら、俯瞰してみてください。多彩なその活動を、そっと貫いている一本の串が見つかるかもしれません。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!

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