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新しいチャレンジ!

澤山乃莉子さん著『THE CURATION HOTEL キュレーションホテルが拓く伝統の未来』が完成し、今週末届く予定の見本誌を楽しみに待っているところです。

これが表紙。澤山さんの熱海の邸宅のリビングにある門構えのような構造体を利用したフォーカルポイントを、表紙のグラフィックデザインにも使っています。

この本の編集を依頼されたのは、昨年の秋。ちょっとした偶然が重なった、不思議なきっかけでした。版元の方から突然メールをいただいたのですが、それが、どうも別の人宛のよう。あれ?と思いつつ返信したら、その文面をちょっとおもしろいと思ってくださったようで「ぜひ話してみたいので近日会えますか」とご連絡がありました。その方と、続けて会社の代表の方にもお目にかかり、あるお仕事に興味はないかと聞かれたのですが、私にはちょっと分不相応な内容のように思え、少し考えて辞退のお返事を差し上げました。その際同時に聞かれたのが「実はこういう内容の書籍を作れる編集者を探しているのですが、こちらはどうですか?」とのオファー。それが澤山さんの「キュレーションホテル」プロジェクトについての本でした。


22年間にわたる英国滞在生活の最初の数年、集中して総合的にインテリアを学んだ澤山さんは、その後ロンドンでインテリアデザインオフィスを設立し、以来17年間、現地の歴史ある建物の内装リニューアルや、一般住宅のインテリアデザインを手がけてきました。豊かな知識に裏打ちされた本物を知る大人のためのインテリアを提案し、壁材や床材、家具や建具の金具などに日本の伝統工芸品を使うなど、単なる和洋折衷を超えた絶妙のミックスセンスと独自のデザインは各所で高い評価を得て、その活躍ぶりをご存じの方も多いと思います。

86年前の建築当時からあった美しい意匠の障子の桟。職人さんの洗いの技術で今のインテリアに合う色に甦りました。この桟のシルエットが本の見返しに使われています。

そんな澤山さんが一昨年、活動の拠点をロンドンから熱海に移したのは、5年間放置されて荒れ果てていた築85年の旅館建築に出会ったことがきっかけ。この建物を買い取って全面リノベーションしようと決意したところから、すべてが始まりました。ずっと温めていた「キュレーションホテル」構想を現実化する材料が揃った、と澤山さんはこのときのことを語っています。


駿河湾を望む高台に立つこの伝統建築の修復プロジェクトには、家ができ上がってからもずっと先の未来にまたがる、遥かなる展望が込められていました。その壮大なビジョンを伝える一冊の本をつくりたい、というリクエストです。澤山さんとはそれまでも何度かお仕事でご一緒したことはありましたが、改めてお会いして企画の説明をいただいた際、次から次へとあふれる思いを語る澤山さんのお話に改めて感動。「こんなに大きなスケールで物事を考えられる人がいるんだ、すごいなぁ」と思うと同時に、「これは自分にとってきっと新しいチャレンジになる。ぜひやってみたい!」という思いがむくむくと湧き上がり、この本の編集の仕事をお引き受けすることにしました。


ちょっと長くなりそうなので、に続きます!

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