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繰り返し読む一冊から

  • 21 時間前
  • 読了時間: 3分

先週のHappy Friday! で、週末に本屋さんへ行く、と書いた通り、地元・西荻窪の駅前にある老舗の書店に足を運んできました。


Photo /NHN
Photo /NHN

こぢんまりとした、個人経営のお店です。久しぶりに店内を歩き回り、棚の前に立つと、今さらながらこのお店の文庫本コーナーの充実に感動して、時間を忘れて眺め入ってしまいました。


ネット書店や大型書店の便利さとは、また別の魅力がここにはあります。一冊一冊が丁寧に選ばれた棚には、選んだ人の顔が見えるような温かさがあって、「この本を置きたい」という店主の思いが、背表紙の並びから静かに伝わってきます。 


棚を眺めているうちにふと、自分の家の本棚のことを思い出しました。我が家の本棚の最上段には、学生時代から今まで、ボロボロになるまで何度も読み返してきた文庫本が、何冊か並んでいます。


その中の一冊が、ジョン・スタインベックの『赤い小馬』です。

大学の授業で出会い、レポートに選んだ作品でした。カリフォルニアの大自然の中で、一頭の小馬との出会いと別れを通して、ジョーディという少年が少しずつ大人になっていく物語です。


幼少期の私はとても内気で、友達と遊ぶよりも犬や猫と過ごすほうがずっと多い子どもでした。だからなのか、動物とともに生きる少年の心の動きが、当時の私にはとても他人事とは思えず、胸に深く残りました。何度も読み返し、友人に勧めて貸すうちに、一冊目はとうとう戻ってこなくなり、今うちにあるのは二冊目。それもボロボロです。


実は先日、本棚を整理していたら、この本について書いた古い文章が二つ、思いがけず出てきました。一つは大学3年時に書いた作品論、もう一つは、会社員時代に大学の記念文集に寄せた感想文です。同じ一冊について、十数年を隔てて二度書いていたことを、すっかり忘れていました。


並べて読み返してみると、21歳の私が悲しい別れの物語として受け取っていたものを、37歳の私は、そばにいてくれる小さな命の愛おしさとして書いていました。同じ本を入り口にして、まるで別の場所にたどり着いていることに、自分でも少しおかしく、そして懐かしくなりました。


ページを開くと、初めてこの本を読んだ時の自分に、すっと連れ戻される気がします。読み返すたびに、こちらが重ねた年齢の分だけ、受け取るものが少しずつ変わっていくのですね。


一冊の本と長くつき合うというのは、その本を通して、いろいろな時期の自分に会いにいくことなのかもしれません。


皆さんにも、繰り返し読んでいる一冊はありますか? もし本棚の奥に、しばらく開いていない一冊が眠っていたら、この週末、久しぶりに手に取ってみるのはいかがでしょう。古いページの間から、思いがけない昔の自分が顔を出すかもしれません。


どうぞよい週末をお過ごしください!


PS

記録として、21歳の作品論と37歳の寄稿文もこっそり載せておきます。青臭い文章ですが、興味のある方だけどうぞ!

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