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ペルソナは一人に絞るべき?

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

思えば私は、オフィシャルな発信の場で、もう何年も同じメッセージを出し続けています。

 

「実績はあるのに、自分の得意技をうまくアピールできていない、クリエイティブなプロフェッショナルへ」。

 

こんなに短いシンプルなメッセージでも、地道に続けていると、素敵な方々がたくさん来てくださいます。これまでご一緒してきた方々を思い返すと、皆さんの職業は実にバリエーション豊かです。

 

Photo/Annie Spratt
Photo/Annie Spratt

建築家、インテリアデザイナー、スタイリスト。ディスプレイや整理収納、カラーなどの専門家。料理研究家、パティシエ、陶芸家、美術家、手芸作家、刺繍作家。テキスタイルデザイナー、プロダクトデザイナー、フラワーデザイナー、カリグラファー、ボディセラピスト。編集者、グラフィックデザイナー、ブランディングデザイナー、イラストレーター。設計会社や輸入会社、レストランのオーナー。

 

面白いなぁと思うのが、皆さんクリエイターでも、分野が多岐にわたるんですね。加えて時々、異文化コミュニケーションや街づくりのプロといった、事業のスタート時に思い描いたお客様像の外側にいる方の相談を受けることもあったりします。

 

これだけ分野が違えば、抱えている悩みも必要な言葉も、まるで違うはず。と思いきや、いざお話を聞いてみると、根本にある願いは驚くほど共通しています。

 

「価値をきちんと伝えたい」 「自分らしさを自然に表現したい」 「自分にぴったりのお客様に出会いたい」。

 

肩書きや専門分野は違っても、この3つの願いは共通。また、仕事に誇りと深い愛情を持っているのに、自分の価値を実際よりやや低く見積もる傾向があることも、ご一緒した方々の共通点でした。

 

さて、ここで少し不思議なことに気づきます。

 

マーケティングの世界ではよく「発信の相手は、たった一人の具体的なペルソナまで絞り込もう」と言われます。年齢、職業、家族構成、休日の過ごし方まで、一人の人物像を細かく思い描こう、と。でも実際に来てくれる人は、こんなに幅広い。ならば、そこまで一人に絞ることに意味はあるのでしょうか。

 

私は、答えはイエスだと思います。絞ることにはきちんと意味があります。年齢や職業といった条件を思い描くことも、もちろん必要な準備です。そのうえで、最も深く理解するポイントを、その人の内側にある「願い」のほうに置くと、うまくいくように思うのです。

 

属性だけをいくら細かく詰めても、言葉は不思議とぼやけていきます。反対に、さっきの3つの願いのような、その人の内側にある「思い」に照準を合わせると、言葉は一気に具体的になり、体温を持ちます。そして面白いことに、そうして一人の願いに向けて研ぎ澄ました言葉ほど、肩書きの違う遠くの誰かにまで、まっすぐ届いてしまうのです。

 

ラブソングを1曲、思い浮かべてみてください。「たった一人のあなた」を歌っているのに、世界中の何百万人が「これ、私のこと?」と感情移入しながら聴きます。一人に絞り込むほど、多くの人に届くのです。

 

だから、もしあなたが「ペルソナの年齢は43歳か、47歳か。年収は800万か1000万か。休日はヨガかカフェ巡りか……」と、細部を延々と詰めて悩んでいるとしたら、力を入れる場所が少しだけずれているのかもしれません。

 

人物像を思い描くことは、大事な準備です。でも、そこを細かく突き詰めることよりも、その人がどんな願いや痛みを抱えているのか——その解像度を上げることのほうに、時間をかけてほしいのです。

 

そう考えると、想定していなかったお客様が訪ねてきても、戸惑わずに対応できます。ペルソナは、お客様を選り分けるための道具ではなく、あなたが心をこめて語りかける、たった一人の相手なのですから。

 

一人に深く語りかけるほど、その声は遠くまで旅をします。あなたの言葉も、あなたが思うよりずっと広い場所へ、ちゃんと届いていくはずです。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!

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