競合リサーチは、戦わないためにする
「同業の人を調べていたら、すっかり落ち込んでしまいました」。
お客様から、ときどきこんな声を聞きます。競合リサーチをしてみたら、同じ分野にすごい人が想像以上にたくさんいて、自分なんてまだまだだ、と気後れしてしまう。せっかく前に進もうとした矢先に、かえって自信をなくしてしまうのですね。

その気持ち、とてもよくわかります。でも実は、それは競合リサーチのやり方に、ちょっとした視点が足りないだけなのだと思います。
多くの人は、競合リサーチを「ライバルを知って、勝つための調査」だと思っています。だから、見れば見るほど苦しくなります。相手の実績や華やかな発信を、自分の現在地と一つ一つ比べて、点数をつけてしまうからです。
でも私は、競合リサーチをすることの意味は、むしろその逆にあると思っています。競合リサーチは、勝つためではなく、「戦わないため」にするもの。自分が無理に戦わなくてすむ場所はどこかを見つけ、「私はこのままでいい」と確かめるための作業なのです。
そう考えると、見るべき相手も、見るときの心持ちも、自然と変わってきませんか?
ポイントが2つあって、1つめは「誰を見るか」です。いきなり真正面のライバルばかりを見つめると、視野が狭くなり、値段やスペックの比べ合いに飲み込まれてしまいます。そこで、まずは少し離れた「隣の分野」に目を向けてみます。同じ悩みを、まったく別の手段で解決している人たちです。
そこを眺めると視座がふっと上がって、自分の価値の新しい伝え方が見えてきます。そのプロセスを経たうえで、同業の方を見るときは、敵とかライバルとかではなく、憧れていて、お手本にしたいと思える相手を選ぶ。すると調査は、落ち込む時間ではなく、学びの時間に変わります。
2つめは「どう見るか」です。感情を脇に置いて、事実だけをフラットに眺めます。「勝てそう」「負けている」というジャッジではなく、「私はこの地図のどのあたりにいるかな」と、位置を確認するだけ。優劣をつけないと決めてしまえば、リサーチはとても静かで、心穏やかな作業になります。
不思議なもので、この2つの視点を持って眺めると、埋もれるどころか、むしろ自分だけの立ち位置がくっきりと浮かび上がってきます。「あの人はあそこが得意で、私はここが持ち場」……そう分かった瞬間に、ライバルの多さは、もう怖くなくなります。あとに残るのは、落ち込みではなく、静かな自信と安心です。
もし「競合」という言葉に身構えてしまうなら、こう言い換えてもいいかもしれません。競合リサーチとは、戦う相手を探す作業ではなく、戦わなくていい場所を見つける作業なのだ、と。
この週末、もし少し余裕があったら、憧れの一人を「敵」ではなく「先生」として、静かでニュートラルな気持ちで眺めてみませんか。きっと、落ち込むためではなく、自分の持ち場を確かめるための時間になるはずです。
どうぞよい週末をお過ごしください!




コメント