top of page

今の世の中で、編集者が役に立てることって?

私は、22歳のときからずっと編集という仕事に携わっています。仕事をすることで世の中に貢献できる期間がたとえば40年とか50年あるとしたら、前半はかなりのモーレツ社員(←古いなぁ)編集者として働きました。ちょうど20年経ったところで独立し、ほぼ10年になるわけですが、仕事相手から自分に期待される役割や内容は、ほとんど変わっていません。ツールやメディアが変化しても、編集者の仕事ってあまり変わらないものだなと思います。

私はインテリアが好きで、食やライフスタイルや海外文化に関することも好きで、幸せなことに自然とそういった分野の雑誌や書籍、広告やウェブなどのメディアでコンテンツ制作をすることを職業にさせていただいています。企画会議や取材や撮影など、プロジェクトの現場では、それらに関連する分野のクリエイターの人々と一緒に仕事をします。私が社員編集者だった頃はまだ現在のような「自己表現社会」ではなく、彼らは自らの優れたスキルを、眼前のプロジェクトを完成させることにのみ使っていたと思います。


その後の十数年という短い間に、ウェブサイトやブログ、そしてSNSで誰でも自己表現ができる世の中になりました。既存の出版や広告、放送などのメディアを使わなくても、誰もがフラットに言いたい自分のことを発信できるようになったのはご存じの通りです。平成の30年間に起きたこの分野の変化を考えると、「平らかに成る」の願いを込めてつけられた元号が、この意味において最も象徴的なのが不思議に思えますね。


この変化の中で、仕事で出会うクリエイターやものづくりのプロの中にはさまざまなタイプがいました。自己発信のナチュラルな才能があり、自分メディアで自然に楽しそうに人を惹きつける人、考え抜いて勉強して努力してフォロワーを増やしている人、優れたスキルがありながら自己発信にはほとんど興味がない裏方体質の人。いずれにしてもウェブサイトくらい持っていないとね、ということで、とりあえず作った人。でもよく話してみると、最初のタイプの人以外はみんな、少しずつ異なる悩みや苦労を持っている印象を受けました。


ちょっと長くなりそうなので次回に続きます!

bottom of page