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あの夏の海に会える個室

(2024年7月5日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)


こんばんは。エディターの田村です。

 


上の写真はイギリスのインテリアブランド「Sanderson」の壁紙で「Beach Huts」という名前なのですが、可愛いと思いませんか? 

 

版画のようなノスタルジックなタッチで、いろんなデザインの海の家がトリコロールの色彩で並ぶ、ビッグリピートの壁紙。よく見るとかもめが飛んでいたり、軒先にとまっていたりして、初めてこれを見たとき、絵本の中の1ページみたいだな、と思いました。

 

学生時代、初めて訪れた国はイギリスで、南部の海沿いの町ボーンマスがホームステイ先でした。自転車で海を見に行くと、ビーチに色とりどりの小屋が並んでいて、イギリスの海の家って小さくて可愛いな、と印象的でした。

 

20代後半、勤務先の出版社をやめて当時の貯金を全部持ち、再び1年間イギリスに住んだことがありました。この時に選んだのも、南東部ケント州の海沿いの町。海岸沿いを歩くと、ボーンマスとはまた違う風情の海の家にたくさん会えました。

 

比較的海の近くで育ったせいか、原風景の中にはいつも必ず海があります。日本各地の海も大好きだし、外国の海もいろいろ見ましたが、あの時のイギリスの小さな町の、ちょっと寂しい静かなビーチは、なぜかとても心に残っています。

 

昨年秋、洗面室とトイレと玄関と廊下のインテリアリフォームをした際、トイレに使う壁紙を探しに行き、この「Beach Huts」に出会いました。記憶の隅に眠っていた懐かしい風景に再会できた気がして、一発で気に入ってしまいました。

 

ショールームに依頼してイギリスから取り寄せることになり、発注をかけてもらったのですが、微妙に納期が遅れて、工事当日「今、空港に到着しました」という連絡が。「これから向かいます」って、来日アーティストか!笑

 

夕方まで待ったものの、通関に時間がかかり、やむなく工事は延期に。その後、無事届いた壁紙を、職人さんが無駄が出ないようにと配慮して貼ってくれて、それはとてもありがたかったのですが、家の真ん中で切れてしまう模様の出方にどうしても納得できず、正直に話してやり直してもらったりもしました。

 

そんなエピソードもありつつ、インテリアリフォームが完了してもう7ヶ月が過ぎました。

 

トイレに入ると一年中、あの日の海の家、あの静かな海を思い出せる風景が迎えてくれます。世界と日本のいろんな海で拾ってきた砂や石や貝殻を飾っていて、ここで仕事してもいいなと思うくらい、気に入っている個室です。


今年の夏は、うっかり外出もできないくらいの酷暑になりそうですね。今週は何のオチもありませんが、海が見たいなと思う季節になったら、書こうと思っていたお話でした。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!

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