(2024年7月19日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)
こんばんは。エディターの田村です。
「ふざける」という言葉はあまり良いニュアンスで使われないですが、実は私は、ふざけるのがわりと好きで、人生に必要なことではないか?とすら考えています。みなさんはどうですか?
TVディレクターをしている高校時代の友人がいます。バラエティやトーク番組、グルメ番組の制作キャリアが長く、『料理の鉄人』も手がけていた敏腕(たぶん)なのですが、もう本当に楽しい自由人という感じの人です。
趣味で「食べ方学会」というふざけた学会を作り、崎陽軒のシウマイ弁当の食べ方の順番について細かく研究した同人誌を自費出版し、一部でちょっとしたブームに。崎陽軒の社長にインタビューし、続編も次々に出版し増刷、副業のレベルを超える売り上げがあるそうです。
いきものがかりのトーク番組に出演して、リーダーの水野良樹さん(我々の高校の後輩です)ともシウマイ弁当の食べ方で盛り上がっていました。水野くんに気に入られて、その後ラジオ番組にもゲストで呼ばれたと言っていました。
彼には『絶対にうまい食べ方』という著書もあります。名店からB級グルメまで、その店の料理の食べ方を研究するという、絶妙に真面目で絶妙にふざけた最高の本で、帯には放送作家・小山薫堂さんの「こんな本、立ち読みで十分!」という愛のある最高な推薦文が掲げられています。
そんな彼がお店を案内する「絶うまツアー」なる大人の遠足を、友人向けに企画してくれました。コロナによる中断後、ほぼ5年ぶりの開催。何度か行ったことのある、神奈川県のちょっとしたベトナム人街になっているエリアのベトナム料理屋さんを、仲間8人で久しぶりに訪れました。
通り過ぎそうな店構えの中に入ると、三方に食料品の棚。真ん中に簡素なテーブルとスツールが置いてあり、冷蔵庫から勝手に缶ビールを出して飲んで、お会計の時に缶の数を数えてお支払いするという牧歌的なスタイル。カジュアルな料理はどれもとてもおいしくて、信じられないほど安い。お客さんは地元のベトナムの方々が多く、現地の言葉が飛び交って、ちょっと旅行に来た気分にもなれるのです。
集まった仲間は、会社経営者も大手企業重役も会社員もフリーランスも専業主婦もいて、社会での役割はさまざま。でも集まると一瞬でアホな高校時代の素顔に戻り、ふざけられるのが不思議です。
昔話をするわけでもなく、近況報告をするわけでもなく。今どんな仕事をしているか、子供や親がどうしたなど、話したいことがあれば話すし、特になくても、目の前にあることだけで大笑いできる、そんな仲間。
メンバーの中に歌好きがいるので、二次会は必ずカラオケです。歌いたくない人は歌を聞かずにずっと喋っていて、歌いたい人だけがガンガン歌を入れて歌います。
私は毎回必ず歌わされる歌があって、それは松本伊代の「センチメンタル・ジャーニー」。もちろん振り付きで、軽く伊代ちゃんのものまねを入れて歌います。「伊代はまだ、16だから〜♪」のところに自分の今の年齢を入れて歌う、寒くて痛いアドリブも年季が入ってきました。
大人になると、ふざけられる機会は少なくなるし、仕事は関係ないこういう友達との時間も減る一方ですが、彼らがいる限り、たぶん一生ふざける機会はなくならないと安心しています。
TVディレクターの友人のような、綿密に練られた、知性のある、仕事になるふざけにも憧れるけど、何も考えずにただ楽しくふざけられる場所がずっとあったから、仕事は真面目にやってこれたのかなぁ、と思ったりします。
最高にふざけて大笑いした後は、とても元気が出ます。私にとって人生のオアシスみたいな、高校の仲間のお話をさせていただきました。
どうぞよい週末をお過ごしください!
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