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チャンスだったのにね…

(2024年9月20日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)


こんばんは。エディターの田村です。

 

ずいぶん前、当時まだ駆け出しの女性カメラマンと一緒にとあるインテリア撮影に行った時のことです。

 


彼女は快活できめ細やかな気遣いができ、腰が低くフットワークが軽く、一生懸命さがとても好感の持てる人。素敵なお宅での撮影と取材はスムーズに進み、和やかな雰囲気で話も弾みました。取材先のご主人は映像作家で、近々海外ロケの予定があると話していました。

 

撮影後少し経って、そのご主人からメールが届きました。ロケ先でスチールを撮影するカメラマンが急遽必要になった。旅費は全部負担するので、ぜひ先日の彼女に打診してもらえないだろうか、というお話。

 

撮影当日の彼女の動きや撮影のスタンス、仕事に対する姿勢を見て、この子なら、と思っての抜擢だったのでしょう。すごいチャンス!と思い、マネージャーでもないのに大喜びで彼女に知らせました。

 

わぁ光栄です!と彼女はとても喜んでいました。ただ、打診された日程周辺に別の仕事が入っていたらしく、調整してみる、という返事でした。

 

結果、彼女はそのせっかくのお話を辞退してしまったのです。映像作家のご主人からは「とても残念だけど、またの機会に」とお返事がありました。

 

でも残念ながら、私はもうこのお話の続きはないだろうな、と思いました。そしてやはり、そのまたの機会は訪れませんでした。

 

後で聞いたら、先約の仕事は代わりを頼めないわけではなかったらしい。きっとすごく迷ったと思うし、もしかしたら、あまりに突然の大きな仕事に、ちょっと身がすくんでしまったことも関係しているのかもしれない。

 

でも思ってしまいました。もったいないな、チャンスだったのにね…。

 

最近も、これにそっくりな話をクライアントの方から聞いたばかりです。自分が予測していたライン上にない出来事が降ってくるときって、「今まで通りでいい? どうする?」と何者かに試されているのかもしれません。

 

この機会をつかめば、新しい道が開け、良き人脈と出会い、可能性が広がり、一段上のステージに行けるかもしれない。そういうチャンスは大なり小なり、皆さんのこれまでの人生にもあったのではないでしょうか。

 

そのチャンスを活かせたことも、そうでなかったこともあったと思います。私もそうです。カメラマンの彼女は今も元気に活躍しているし、それはそれでいいのです。

 

奇跡は起こるのでも起こすのでもなく、起こりたがっている。だから、その場を整えてあげるだけだ、という説があります。

 

最初に聞いたときは「???」と思ったのですが、機会があったらすぐに動ける瞬発力、チャンスに乗っかる胆力を持つには、目の前のことだけでいっぱいいっぱいにならず、時間や精神に余裕を持つ、自分の世界にきれいな「余白」を作ることが必要なんだなと、最近よく思います。

 

素敵なチャンス、ちゃんと活かせていますか? 起こりたがっているミラクルを招き入れる余白を持っていますか? これは自戒を込めた自分への問いでもあるのですが。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!

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