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見る、読む「リトリート」

更新日:6月6日

(2025年5月23日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)


こんばんは。エディターの田村です。

 

世の中には素晴らしい才能をいくつも持つ人がいて、私は仕事柄そういった人に出会う機会が多く、とても幸せに思います。先日も、独特の才のある人に出会いました。

 

彼女、ririさんの本業は文筆業ではなく、建築とインテリアに携わる会社員。旅とカメラの趣味が高じて、海外や国内の旅で見つけたシーンや日常に潜む風景をスケッチするように撮影した写真がたくさんあります。その写真とそこに添えた文章を何編か読ませてもらったのですが、その静謐で詩情豊かな筆致は、何か心にすっと染み込むような感触がありました。


Photo/riri
Photo/riri

仕事の成果や周囲の期待に応えることを求められ、思考優位で長く過ごしてきた会社員としての生活。ふと早く目が覚めた朝、気づいた人生の真実を綴った「sense awake-半径3mの気づき」。

 

夜間飛行をテーマに語られるオープニングの語りが夜の静けさにマッチする、私が大好きだったラジオの深夜番組の話をしたら、その日のうちに書いて送ってくれた「ジェットストリームへの憧憬」。

 

フライト中の飛行機の中で夜明けに出会った不思議な光景を、瞬時に写真と言葉で写し取った「宇宙船の中」。朝日に照らされた機内の光景は、まさに日常の中に隠れている非日常。そういう視点も、とても面白いのです。

 

聞けば、旅のサイトで連載も持っているとのこと。フォトエッセイストとしての活動を皮切りに、今後やっていきたいことをたくさん詰め込んだウェブサイトを作りたい、と夢を語ってくださり、制作がスタートしました。

 

ウェブサイト自体を「架空の宿」みたいなコンセプトにできないでしょうか?と言われ、その自由な発想がいいな、と思いました。「写真と言葉でひらく、感性のリトリート」「旅するように暮らす」「見る、読むリトリートハウス」…そんなフレーズを一緒に考えて、添えました。

 

サイトのタイトルは、コンセプトである「旅するように暮らす」そのまんまの「Live Like Travelling」。バンド名「Sing Like Talking」や、ジャミロクワイのアルバム名やJ-Waveラジオ番組名「Travelling without Moving」の響きを借りて、暫定のつもりでつけたら、ririさんが意外と気に入ってくれて、そのまま採用に。

 

まだちょっと粗削りなところはあるけれど、訪れる人に「肩の力を抜いて、五感をひらき、自分を大切にして、もっと人生を楽しんで」というメッセージは、強く伝わってきます。

 

始まったばかりなので、コンテンツもまだ少なく、今はフォトエッセイとフォトギャラリーだけ。でも今後、いろんな企画を考えているそう。ゆっくりじっくり、内容を充実させていく予定です。

 

インターネットは雑音やジャンクな情報も多く、すっかり騒がしくて疲れるメディアになってしまったけど、訪れると落ち着く、こんな静謐なウェブサイトがあってもいいと思います。

 

たまに訪れて、海辺のリゾートや高原の緑、ホテルの朝食や雨の日の窓辺やジャズバーの写真を眺め、心に優しく響く短いエッセイを読んで、ひととき旅気分に浸ったり、自分の感情を見つめたり、夜更けや早朝の静けさを一人味わってみたり。そんな時間のお供として、よろしければぜひ、ririさんの新しいサイトを応援していただけたらと思います。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!

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