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ティーン雑誌を大人買いした話

更新日:6 日前

(2025年6月6日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)


こんばんは。エディターの田村です。


Photo/Blair Fraser
Photo/Blair Fraser

1ヶ月ほど前、「14歳の時に聴いていた音楽」というテーマのニュースレターを書いてからしばらくしたある日、中高生時代大好きだった雑誌『mc Sister』のバックナンバーがメルカリに出ているのを目にしました。

 

たぶん同年代の方が大切に持っていたか、実家で発掘したかしたものを断捨離で放出したのでしょう、ちょうど私が夢中になって読んでいた号の表紙が、2年分ほどずらっと並んでいました。

 

週末の深夜で、いい感じにお酒が入っていて(それは毎晩のことですが笑)、懐かしい表紙の写真や目次(中ページも掲載されていた)を眺めていたら、無性にもう一度読みたくなって、その場で15冊くらい大人買いしてしまいました。

 

当時定価400円ほどだった雑誌ですが、入手困難らしくなかなかの値段がついており、それをまとめ買いしたので、ちょっと勢いづきすぎたかなと、衝動買い後の軽い後悔に陥っていました。でもいざ到着して中身を開くと、今見ても実に素晴らしい雑誌で、毎晩一冊ずつ楽しみに読み、いやー本当に買ってよかったなぁと思っています。

 

誌面の中の世界は、1982〜1984年。広告やタレントのインタビューページにはいかにも流行という感じの80sポップカルチャーの香りがプンプンしますが、メインコンテンツであるファッションページは意外に普遍的な作りで、服も髪型もメイクも、今見ても不思議なほど古い感じがしません。

 

流行を追いかけたり、消費欲を煽ったりするのではなく、お小遣いに限りのあるティーンエイジャーがどうすれば年相応のおしゃれを楽しめるか、少し年上のお姉さんお兄さん達が、楽しく指南してくれる雰囲気が、当時から大好きでした。

 

「お父さんかお兄さんにステンカラーコートを借りて、赤いスカーフとフラットシューズ、斜めがけのショルダーバッグなんかを合わせれば、パリの女の子みたいになるよ」と書いてあった記事を信じて、本当に父親の「おじさんコート」に赤いタイツとスカーフとショルダーバッグ斜めがけのいで立ちで、友達と出かけたことがあります。周りにどう見えていたのかわかりませんが、本人は大満足。父親は面白がって、そのコートを私にくれました。

 

誌面に登場するモデルも皆可愛くて、トラッド担当、アメカジ担当、ロマンチック担当、太め担当?みたいなキャラクター分けがあり、毎月会う憧れの友達みたいに思っていました。私は中でも村上里佳子さんのファンで、ロングヘアをショートにしたあたりの号は特にお気に入り。何度もページを開いては、かっこいいなぁ、足長いなぁ、と見とれていたことを、ページをめくりながら思い出しました。

 

誌面のレイアウトデザインを記憶するくらい、毎月展開される楽しいページを夢中で見ていたと同時に、こんなワクワクする素敵な雑誌を作る編集部ってどんなところなんだろう、と考えていたことも思い出します。当時はまだ、はっきりと編集者を目指してはいませんでしたが、今思えばこの雑誌の、表側も裏側も実に楽しそうな世界が、ティーンエイジャーの私に与えた影響は本当に大きかったんだなと実感します。

 

音楽だけでなく、14歳前後に夢中になっていたものにはやはり、今につながる何かが、必ずあるんですね。クライアントの方々と話していても、その頃大好きだったものが今のお仕事やそのスタンスに大きな影響を与えていることがはっきりわかることはよくあります。その話になると、皆さんとても楽しそうな表情になることも。

 

「おしゃれを楽しむ本質は、自分を好きになることだよ」。長い年月を経て再会した『mc Sister』の憧れの友達や、お姉さんお兄さん達は、誌面を通して、ずっとそんなふうに言っている気がしました。

 

私が大好きだった雑誌は、十代の自分の中にあった、憧れや大好きな気持ちを思い出させてくれただけでなく、時代に流されない軸のあるメッセージを、若者に真剣に伝えていた、上質なメディアだったんだなと改めて感服しました。

 

余談ですが、私が見ているページを横からのぞいた夫が一言「今でもそういう感じの服、着てるよね」…いや、さすがにそれはないでしょと答えつつ、内心どきりとしました。はい、今の年相応に、痛く見えないように気をつけます…。

 

どうぞよい週末をお過ごしください!



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