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学生街の記憶

更新日:8月15日

(2025年8月8日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)


こんばんは。エディターの田村です。

 

Photo/Jonathan Marchal
Photo/Jonathan Marchal

グルメ番組やトーク番組のディレクターをしている高校時代の友人が、年に数回「大人の遠足」的な酔狂な会を企画してくれるのですが(→「最高にふざけた仲間」)、先日、彼の母校の早稲田大学の近くにある、昭和元年創業の居酒屋さんに連れて行ってもらいました。

 

駅からお店まで、キャンパスを横切る形で歩くと近道だとのことで、大学構内のおしゃれなカフェでビールを飲みながら待ち合わせです。暑い日だったので時々建物に入って涼を取りながら、まずはキャンパス内を散策。

 

大学のキャンパスを歩くなんて数十年ぶりです。一緒に行ったメンバーの中に早稲田卒業生があと2人いて、3人が代わるがわる構内の建物の説明や思い出話をしてくれました。

 

ずっと行ってみたかった国際文学館(村上春樹ライブラリー)にも立ち寄り、館内をぐるっと回って、気持ちのいい空間を満喫してきました。

 

大きな階段の両側の壁全面の本棚、広々としたギャラリーラウンジ、集中して読書できるコクーンチェア、かっこいいオーディオルーム、居心地の良さそうなカフェ、村上さんの書斎を再現したコーナー(インテリア可愛かった)など、静かで自由でウェルカミングな雰囲気が素敵でした。オフィシャルグッズも超可愛くて、次回行ったらTシャツを買おうと意気込んでいます。

 

村上春樹ライブラリーでは9月21日まで大橋歩さんの「村上ラヂオ」(2001年にスタートした雑誌『アンアン』の連載)の銅版画展が開催されているので、その間に必ずまたゆっくり訪れようと心に誓いました。

 

最終目的地である居酒屋さんは、縄のれんのかかった、いかにも老舗といった風情。メニューはオムライスや焼きそば、シュウマイやポテトサラダ、串カツや焼き鳥といった学生が好むガッツリ系中心で、お値段も良心的。どれもおいしくて、カフェでも飲んだのに、またビールが進みました。

 

お店の隣はいかにも昔からありそうな古本屋さんでした。父方の祖父が早稲田の卒業生で、よく古本屋に入り浸っていたと話していたのをふと思い出しました。

 

1908年生まれだったので、大学入学はおそらく昭和の初めです。そんな話をすると、4代目というおかみさんが「近くを歩いていたことは確かですね」と言ってくれました。

 

社会人になって30年も経ってから久々にキャンパス内や学生街を歩いたりすると、随分遠くまで来たなという思いと、でも何も変わっていないんだよな、という思いが交錯します。

 

当時の出来事一つ一つの記憶ではなく、ここで過ごしていた自分がいたなというふわっとした記憶が、妙に染み入るとでもいうのでしょうか。とうに他界した祖父が、学生時代に買った文庫本をずっと大切に持っていて、何度も読み返していた気持ちが、今、なんとなくわかる気がします。

 

学生街で過ごした一日は意外なほどリフレッシュできて、今度は自分の母校にも行ってみようかな、と思っています。何を思い出すのか、どんな気持ちになるのか、今から楽しみです。久しぶりすぎる母校探訪、結構おすすめかもしれません。

 

これから夏休みに入られる方も多いかもしれませんね。

どうぞよい週末をお過ごしください!

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