今、まだ会えるから
- Atsuko Tamura
- 11月7日
- 読了時間: 3分
(2025年11月7日配信のニュースレターをこちらにも掲載します)
こんばんは。エディターの田村です。
今日はちょっとプライベートな話を書きますね。

私の父は87歳で、5年前にかなり進行した癌が見つかり、大きな手術の後、余命半年と言われたのですが、今日もなんとか生きています。
その間にあらゆる治療をして、2割の人にしか効かないと言われている治療も幸いなことに功を奏し、一時は主治医の先生も驚くほど体調が安定して、母と同居できるまでになりました。
でも治ったわけではないので、時々ぐっと体調が悪化します。治療法もなくなり、病院でも家でも診られなくなったので、近くにとても良いホスピスを見つけ、入居しました。
ここでも入居時に「お看取りまで半年くらいですね。それまでの時間を穏やかに過ごしましょう」みたいな話をされ、家族も覚悟していたのに、なんと、もう1年半になります。
先日、容態が悪くなり、ドラマに出てくるような「最後かもしれません。家族を呼んでください」という知らせを受けて駆けつけたら、体に通される管は増えていましたが、痛みがなくなったためか、落ち着いてニコニコしていていました。
もうあまり話すことができないのですが、どうやら「ソフトクリームが食べたい」と言っていることがわかったので、近所のコンビニに買いに走りました。渡したら、鼻から栄養を入れている状態なのに、なんと全部食べてしまいました。
「さすが不死身の男だね〜」と声をかけて手を握ると、リズミカルにギュッ、ギュッと握り返してくれました。昔からあまり会話の多い父娘ではないので、これが精一杯のコミュニケーションです。
今、淡々と書いていて思ったのは、私は父とのことに関しては、あまり後悔しないだろうな、それは予想以上にたくさん時間をもらって、ゆっくりだけど自分の役割を果たせたからかもしれないな、ということです。
もう会えない人に対して、とても後悔していることも、もちろんあります。今後はなるべく、今、自分の近くにいてくれる人たちにも(すぐにそういう心配がないとしても)いつか会えなくなると思って接することにしてみようと思った次第です。
同世代のお客様と話していて、高齢のご家族の話をちらりとお聞きすることがあります。それぞれの静かな愛情と悲しみに触れ、その気持ちに心から共感します。仕事中の会話なのでそんなに詳しい話はしないし、自分の話をすることもあまりないのですが、今週はふと思いついて、こんなお話になりました。
急に寒くなってきましたね。どうぞよい週末をお過ごしください!




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