クリエイターズ・インタビュー:ヘザー ブラッキンさん(インテリアデザイナー)

最終更新: 2019年8月15日

今回は、インテリアデザイナーのヘザー ブラッキンさんにインタビューします。

ロンドンの大学でインテリアを専攻し、ベルギーでインテリアデザイン事務所の勤務経験もあるヘザーさん。2000年に帰国してからはフリーランスでインテリアのコンサルティングやコーディネート、収納スペースのデザインなどに携わっています。ご自身が素敵な住まいと暮らしを実践していることから、取材される機会や著書も数多く、記事や本でヘザーさんを知っているという方もいらっしゃるでしょう。

−−−ヘザーさんは何のプロフェッショナルですか? ご自身の言葉で教えてください。

「インテリアと収納計画のプロ」です。自分自身の国際的なバックグラウンドを生かしたインテリアのサポートや、片付けやすい家づくりのための収納空間のデザインを得意としています。

−−−お仕事をするうえで、いちばん大切にしていることは何ですか?

お客様とのコミュニケーションです。その方のライフスタイルや家族のこと、プライベートな事情などにも関わる仕事なので、お客さまには100%信頼していただくことが大切なんです。相手の望みをきちんと理解できるまで、しっかりとヒアリングするのが第一だと思っています。よいコミュニケーションが取れれば、住まいづくりを一緒に楽しんでいただけるからです。

ヘザーさんのお母様は、作家の森瑤子さん。お母様が大切にされていた器やアートを、海外在住時から使っていたアンティークの薬棚に収納しています。物語のあるアイテムと暮らすことの素敵さが一目でわかるショットです。

−−−ヘザーさんがいま手がけているプロジェクトのことを、可能な範囲でいいのでひとつ教えてください。

最近のプロジェクトになりますが、新築のお客様の収納スペース(ウォークインクローゼットやシューズクロークの中など)のデザインをさせていただきました。家を建てる前の図面の段階からご相談を受けたため、ぴったり合う収納を作ることができました。当時のお住まいを訪問し、持ち物を見て必要な寸法を測り、収納の傾向やライフスタイル、生活動線のヒアリングをしながらプランを進めました。ハンガーパイプが何本必要なのか、引き出しをどこにどう入れるか、棚はどこに何枚作るかに至るまで、細かく打ち合わせしました。同時にリビングやダイニングの家具選びのお手伝いや窓まわりデザインの提案など、インテリアと収納スペースのトータルなお手伝いができたと思います。

−−−ヘザーさんがインテリアデザインの仕事の幅を広げて、収納計画のアドバイスも始めるようになったのはなぜなんでしょう? 何かきっかけがあったのですか?

日本でインテリアの仕事をしてわかったのが、日本人はなんでも近くに置いておきたいと考えるんだな、ということです。ほんの些細なもの、たとえば爪切りだって、置く場所が必要です。しまう場所がなければテーブルの上に置きっぱなしになりますよね。テーブルの上に文房具や日用雑貨が置きっぱなしなのは、日本の家でよく見る光景です。自分の夫もそうで、最初は呆れました。使うものを手の届く場所に置きたいんですね。これは決して批判ではなく、欧米との文化の違いで、それがもともとの日本人の暮らしになじむからなんだと思います。でも、そういう暮らし方だからこそ、動線を考えた収納計画が大事なんです。そんなことから、収納プランナーの仕事に興味を持つようになりました。


−−−なるほど。その「動線を考えた収納計画」では、具体的にどんな解決ができるんでしょうか?

たとえば、収納の「位置」や「大きさ」ではなく、単に「向き」を90度や180度変えるだけで、きれいに問題が解決したシーンを何度も見てきました。もちろん家の構造に関わることもあるので、設計担当者との相談も必要ですが、収納を単なる「物を入れる箱」と考えずに、生活動線の中の一部と考えると、使いづらさが一気に解消されることはよくあります。

家づくりではどうしても広さや見た目が重視され、収納計画は後回しになってしまうことが多いんです。とりあえずここにつけておけば、といった考えで安易に収納を作ってしまいがちですが、使いづらいと途端に片付けしにくい、散らかりやすい住まいになります。戻すのが面倒だったり、必要な時にさっと出せなかったりするのなら、収納計画を見直す必要があるかもしれません。家を建てる、またはリフォームを計画している段階で図面をじっくり見て、何をどこで使うかをイメージし、それを使った後の動線も想像してみるといいですね。……あ、すみません。この話になると止まらなくなってしまって……(笑)。

ヘザーさんのインスタグラムには、ご自身の暮らしの中で見つけた心温まるシーンや役立つアイデアがいっぱい。投稿は2ヶ国語で、世界中にたくさんのファンがいるようです。

−−−ヘザーさんに相談すると、問題を聞いたうえで、こんなふうに親切に情熱を込めて教えてもらえるんですね。お客様は楽しみですね!

ヘザーさんがいま注目していること、凝っていることはなんですか?

今、インスタグラムの勉強をしています。写真の撮り方や加工の仕方、見せ方、キャプションの書き方など、私らしさ、つまり「ヘザーブランド」を反映するアカウントにするため、いろいろ試行錯誤しながら楽しんでいます。今までは単にその日の気分で写真を撮ってアップしていたのですが、計画を立て、全体図をイメージしながら投稿するように心がけてから、ますます楽しくなりました。インスタだけではなく、ブログなどさまざまな発信に使えるノウハウを教えてもらえるので、これから活用していきたいと思っています。「なんだかそういうのって怪しい」と思う人もいると思いますが(私もその一人でした)、とても尊敬している人が開いたコースなので参加したところ、「へぇ〜」というようなことがたくさんあって毎日感動です。今はまだ途中ですが、ちょっとしたノウハウでこんなに変わるんだと実感しており、これをきっかけにした素敵な出会いもあって、受けて本当によかったと思っています。(ヘザーさんのインスタグラムはこちら


−−−心身の健康の秘訣、機嫌よく楽しく仕事をするためにやっていることや習慣、心の拠り所的なものは何ですか? 食べ物や心がけや本や音楽や人、どんなものでも。

朝の時間を大切にすることでしょうか。ドタバタするのが好きではないので、いつも余裕を持って動くようにしています。早い時間に外出する日は、それだけ早く寝起きをしてゆっくり支度をしますし、朝ごはんを自分のペースで食べ、音楽をかけて、愛犬ボニーとの散歩も楽しんでいます。朝の時間が充実していると、その日一日の気分や行動に反映される気がします。仕事は大好きですが自分の暮らしはスローなペースが好きなので、できる限りそのペースが乱れないように、でも一生懸命仕事をするのが理想です。心の拠り所はまさに自分時間かな、と思います。その中で本を読んだり、料理を楽しんだり、おいしいものを食べたり、それから、夫や友人とのコミュニケーションも含まれています。

−−−朝型の暮らしはとても豊かですよね。では、ヘザーさんの実現したい夢はなんですか? どんな大きなものでも、逆にささやかなものでもいいので教えてください。

パーソナルカラーの勉強をし、アドバイザーの資格は取得しましたが、その基礎や勉強してきた知識をインテリアでも活用するのが夢です。色は奥深く、勉強をすればするほど知識が深まると実感しているので、これからも勉強を続けていきたいと思っています。インテリアカラースペシャリストとしても活動するのが仕事面での夢です。 プライベートでは、タヒチのリゾートの海の上のバンガローで10日間くらい、ぼーっと何もしないで過ごすことです。早く実現させるためにも、仕事をがんばらないといけませんね!


−−−「私はこんなことで人の役に立てる」と思うことを、ひとつアピールしてください!

その人の「好き」を引き出し、ご自分にとって心地よい空間づくりのお役に立てます。一方的に「こうしたらよい」と薦めるのではなく、会話や1対1のワークショップ、コーチング的な要素などを通して理想の住まいをイメージしてもらい、考えを一緒に整理し、それを実現していくお手伝いです。心地よさは一人一人違うので、その意味でも最初にお話ししたコミュニケーションが大切になってきます。

インタビューを終えて

最近リニューアルされたヘザーさんのウェブサイトは「自分自身でひとつひとつ勉強しながら作ってみたい」という強い意志のもと、写真も文章もご自分で用意されたものを私がアドバイスさせていただき、じっくり時間をかけて完成したものです。ヘザーさんの発しているメッセージが、必要とされている方々に届き、住みやすく片付けやすい素敵な家で、大好きなものに囲まれて暮らす幸せな人が増えるといいな。これからもさらにご活躍ください! ありがとうございました。

ヘザー ブラッキンさんのウェブサイト「Home Life Style」はこちら